Vol.43 等伯屏風を前にして

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先日、来年に大手海外オークションに出品される長谷川等伯の屏風を見る機会がありました。
六曲二双の金屏風です。

 

等伯というと、涅槃図などの仏画のイメージがあり、今回のように煌びやかな作品は初めてでした。
最近は、東洋美術に限らず、オークション会社は、質の良い作品を集めることが難しくなってきたようです。
今回の下見会に来た出品作品は、中国の明時代の置物、日本の著名な藩主所有だった陶磁器など数点でした。

 

等伯の時代(1600年前後)になると、その作品の真贋について、はっきりとした根拠は難しいものとなります。
この作品の真贋も、大学の研究所の判断とのことでした。
作品の屏風の大きさからみても、又、作風からしても、等伯工房(お弟子さん達)によるものではないか、というのが個人的な感想でした。

 

屏風については、10年以上前に京都の古物商の倉庫に、山積みされているのを見たことがあります。
その後、海外の競売会社の東洋美術担当者に、屏風は面白いオークションアイテムの一つになっていくのではないか、と話をしたのを思いだしました。当時は、あまり関心を示す様子がなかったので、それ以上の商談にはなりませんでしたが。

 

今回の屏風を前にした時、私は等伯への思い以上に、日本各地に残されたこれらの美術品のことを考えてしまいました。
日本に、未だ多くの「お宝」が静かに眠っていると思うのは、私だけではないと思います。

 

あなたの住む街のどこかにも、人知れずしまわれているかもしれません。

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