Vol.36 ~シンガポール美術市場 2~

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2012年にシンガポール経済開発庁、JTCコーポレーション、そして国立芸術協議会の3つの政府機関主導のもと、6億円以上を投じシンガポールの南西部、6.4ヘクタールの旧英国植民地時代の軍用地跡にシンガポール最大の現代アート地区「ギルマン・バラックス」がオープンしました。

広大な敷地には、14棟の建物が点在し、日本、オーストラリア、ドイツ、中国など10カ国13ギャラリーがあり、レストランやカフェも併設されています。そして、2013年には、南洋理工大学(シンガポール)が運営する「シンガポール現代アートセンター」のオープンが予定されています。開設される13のギャラリーは、アジア太平洋地域のギャラリーにシンガポールより提案し、応募、審査という形で選ばれた現代美術ギャラリーです。日本からは「ミヅマアートギャラリー」、「小山登美夫ギャラリー」、「オオタファインアーツ」の大手が参加しています。2013年には村上隆率いる「カイカイキキギャラリー」も出店を予定しています。シンガポールの新名所「ギルマン・バラックス」は巨匠の作品は勿論、将来が期待される新人アーティストの作品まで出会える他、各種アートセミナーなども開催され、美術館とも少し違う今を象徴する生きたアートに触れられる所です。

経済開発庁のプログラムディレクター、ユージーン・タンさんは「この広大なエリアを東南アジアの代表する現代アートのハブにするというビジョンの具現化には、相当な挑戦が伴いました。各政府機関が集結して実現したプロジェクトです。今後も、運動しながら現代アートの発信地として盛り上げて生きたいです。」と語っています。

2006年の「シンガポール・ビエンナーレ」に始まり、2010年から定期開催されている国際的なアートイベント「アートステージ・シンガポール」などを経て「ギルマン・バラックス」の完成は、アートを継続性のある産業としていく道が見えてきたのではないでしょうか。そして、2015年には「ナショナル・アート・ギャラリー」の開館も予定されています。
参加を決めた理由として小山登美夫ギャラリーは、経済開発庁のサポートがある事、シンガポールにアートコレクターは少ないがマレーシア、インドネシアなど近隣諸国を含めればギャラリーが集まる有望な場所である事、香港に比べて家賃が安く治安の良い事などを挙げています。他にもアート業界の期待は大きいです。

大きな広がりをみせる”アートな都市”シンガポールに今後ますます注目が集まりそうです。そして、アジアの中のアートハブを自称する香港としのぎを削りながら、世界のアート市場をさらに熱く盛り上げてくれるのではないでしょうか。

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