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Vol・11  〜ムンクの「叫び」オークション結果、他〜
エドヴァルド・ムンク(1863〜1944)の「叫び」が、5月2日、ニューヨーク・サザビーズのオークションで約1億1992万ドル、(約96億円 手数料込み)で落札されました。
オークションでは5人が12分にわたって競り合い、最終的に電話での参加者が落札しました。
落札者は明らかにされていません。ドル換算での競売落札額としては史上最高額です。
これまでの記録は2010年5月に落札されたピカソの「緑の葉と裸婦」で、1億650万ドル(約85億2000万円)でした。

サザビーズは、8000万ドル(約64億)を超える値段がつく可能性があると言っていましたが、それをはるかに超えた結果となりました。

他にシュルレアリスムの巨匠サルバドール・ダリ(1904〜1989)の作品「PRINTEMPS NECROPHILIQUE」(死体愛の春)は、約1632万ドル(約13億1000万円
手数料込み)で落札されました。こちらも最高予想落札価格1200万ドル(約9億5000万)を上回る結果となりました。


ニューヨーク・クリスティーズのオークションでは、フランスの後期印象派の巨匠ポール・セザンヌ(1839〜1906)が描いた水彩画「カード遊びをする人々」が約1912万ドル
(約15億3000万)で落札されました。
この作品は、連作「カード遊びをする人々」の習作で、最後の公開から約60年ぶりに所在が確認された作品です。紙に描いた水彩画で、テーブルの前に座っている帽子と
コート姿の男性が手元に見入っているが、カードそのものは描かれていません。

この日の競売ではこの他、アンリ・マティス(1869〜1954)の作品、白と青の格子模様の花瓶と花の油絵が1920万ドル(約15億4000万)、パブロ・ピカソ(1881〜1973)
の油絵作品「休息」が988万ドル(約7億9000万)とそれぞれ予想を上回る価格で落札されました。

世界的な不況の今なのに、美術市場は盛況のように思えます。
美術市場においては、不況は関係ないのでしょうか・・・
それとも不況の今だからこそ美術品に価値があるのでしょうか・・・
美術品には、資産価値だけでなく+αな価値、そして魅力があるのも関係しているのかもしれません。


今後も幻の名品が登場し、落札レコードを更新していくことでしょう。


〜アンリ・マティス(1869〜1954)と野獣派(フォーヴィズム)〜
野獣派(フォーヴィズム)とは20世紀初頭のフランスの絵画運動です。
1905年にパリで開催された展覧会サロン・ドートンヌに出品された一群の作品の原色を多用した強烈な色彩と、激しいタッチを見た批評家ルイ・ボークセルが
「あたかも野獣の檻(フォーヴ fauverie)の中にいるようだ」と評したことから命名されました。
代表的な画家としてはマティスの他、アンドレ・ドラン(1880〜1954)、ジョルジュ・ルオー(1871〜1958)、モーリス・ド・ヴラマンク(1876〜1958)
ラウル・デュフィー(1877〜1953)などがあげられます。
しかし、この動きは3年程で自然に解消しました。
マティスはフォーヴィズムのリーダー的存在であり、この活動が終わった後も20世紀を代表する芸術家の1人として活動を続けました。

Vol・12  〜ヨーロッパ絵画に見る 永久の女性美〜
山形県にある「山寺 後藤美術館」所蔵の珠玉のコレクションより、ヨーロッパ絵画の中から17世紀〜19世紀に描かれた女性や少女の肖像画28点と静物画7点を
現在ニューオータニ美術館で展示しています。

ヨーロッパ芸術における女性の表現は、古代神話の女神、キリスト教の聖母マリアに始まります。18世紀ロココの時代には、高貴な女性の肖像を、また19世紀前半までは
美しく官能的な女性の裸体画を女神の姿を借りて描かれていますが、後半には様々な階級やジャンルの女性が着衣、裸体を問わず自由な表現で描かれるようになります。
気品に満ちた姿、憂いを含んだ表情、愛らしい笑顔、女性が美しく輝く瞬間を描いています。

目を引いたのは、ジョン・ワトソン・ゴードンの作品「レディ・メアリー、エグリントン伯爵の娘」でした。
この作品は、縦127.6cm×横101.6cmのとても大きな肖像画です。
気品がありながらも柔らかな優しい笑顔を浮かべています。そして、光沢のあるドレスが本当に光っているように見えるのが素敵でした。


*ジョン・ワトソン・ゴードン(1788(1790)〜1864)
スコットランド出身。スコットランド王室海軍のキャプテンであるジェームス・ワトソンの長男。エディンバラ美術アカデミーで学ぶ。
最初は歴史画を描いていたが、肖像画に転向。初期作品は師であり友人でもあるヘンリー・レイバーンの影響がうかがえるが、後にベラスケスに傾倒して新たな様式を
確立した。


*山寺 後藤美術館
山形県家河北町出身の実業家・後藤季次郎が、長年にわたり収集したヨーロッパ絵画(特にフランス)のコレクションを中心として展示された美術館。
山寺地区に建設され、1994年に開館。フランスを中心とする17世紀から19世紀までの絵画コレクションは我国有数のものである。その他、ガレやドームなどのガラス作品
ロダンの彫刻作品、さらにはヨーロッパ各地の伝統工芸品など、幅広いジャンルの美術品を所蔵している。



Vol・13  〜アートアワードトーキョー丸の内  第6回〜
この展覧会は今年で6回目を迎え、若手アーティストの発掘・育成を目的に開催されています。
全国の美術系大学のその年の卒業、修了制作展の中から選ばれた30作品が展示され公開審査を行い、各アワードの受賞者を決めます。
過去5年間に216名のアーティストを紹介し、若手アーティストの登竜門としてすっかり知られるようになりました。

今回の審査員は、加藤 泉(アーティスト)をゲスト審査員とした9人でグランプリには、東京芸術大学の修士課程を修了した片山真理さん(24)の作品が選ばれました。
その作品は、洋服や小物にあふれた部屋に人形のような雰囲気を持った女性(彼女自身)がいる2枚の写真「小さなハイヒールを履く私」と「子供の足の私」そして
その前に布製のオブジェや缶詰等が置いてあります。
「小さなハイヒールを履く私」は、右足の先に小さなハイヒールを履いていて、「子供の足の私」はピンク色の補装具の足を装着しています。
昔使用していた補装具のイメージを重ねたそうです。

片山さんは、生まれつき足が不自由で、9歳の時に左足を大腿、右足を下腿から離断しました。
審査の日には、自身が装着する両足の義足を取り換えるという実演と、ハイヒールを披露しました。

審査員であり実行委員である小山登美夫さんは「障害の事など問題にならないレベルで納得させる表現力」と彼女の作品の完成度の高さと普遍性を認めています。
片山さんは次のように受賞の喜びを語っています。
「グランプリという素敵な賞をいただき、誠にありがとうございました。作る事、それを許す事、朝まで語り合う事、時々けんかする事、音を聴く事、歌う事、踊る事、本を読む事
言葉を勉強する事、続ける事、求める事、声を出す事、歩く事。設営中、作品を手に取りながらそれらを教えてくださった方々の事を思い出していました。
これから感謝の気持ちを伝えに皆に会いに行こうと思います。」

彼女は現在、ジャズ歌手として活動をしています。
これから意識する事無く縫い物をしたり、写真を撮ったりして、美術を生業にする予定は無いそうです。

*加藤 泉(1969〜  )
武蔵野美術大学油絵科卒業。匿名的で「人類」の根源的な生命を思わせる男や女、子供などの人物、人の形を描く独特の絵画表現で世界的に知られる。
2004年頃からペインティングと併行して木彫作品を本格的に手掛け、絵と我々の世界との境界線を越えるダイレクトな存在感を放っている。

Vol・14  〜B・バルドーさん元夫のコレクションがオークションに〜
5月22日、仏女優ブリジット・バルドーさんの元夫ドイツの富豪プレイボーイで鳴らした故ギュンター・ザックス氏(写真家)のバルドー関連を含む美術品コレクションが
当地のサザビーズでオークションにかけられ、落札総額が5600万ドル(約45億円)以上に達しました。

ザックス氏のコレクションには、生前親しくしてた米ポップアートの旗手アンディ・ウォーホル(1928−1987)の作品が多く含まれています。
この日最高の値段が付いたのはウォーホルの自画像(フライト・ウィグ)で、落札総額は847万9889ドル(約6億7800万円)でした。
離婚5年後(1974年)に、ザックス氏の依頼でウォーホルが描いたバルドーさんの肖像画も約500万ドル(約4億円)で落札されました。
ザックス氏は昨年(2011)、スイスのリゾート地グシュタードの自宅で自殺をはかり78歳で亡くなりました。


*アンディ・ウォーホル(1928〜1987)
アメリカの画家・版画家・芸術家でポップアートの旗手。本名はアンドリュー・ウォーホラ(Andrew Warhola)
ペンシルぺニア州ピッツバーグ生まれ。
カーネギー工科大学(現在のカーネギーメロン大学)に進学し広告芸術を学び1949年に卒業後、デザイナーとしてニューヨークで働く。
繊細な線描きによるイラストにより、コマーシャル・デザインの世界で知名度を得た。
1960年、イラストレーションを離れファインアートの世界へ移る。派手な色彩で同じ図版を大量に生産できるシルクスクリーンの技法を用い、始めは漫画をモチーフにした
作品を制作していたが、キャンベルスープの商標や、ドル紙幣をモチーフにした作品を描くようになる。
1962年、マリリン・モンローが突然の死を迎えた時に彼女を題材とした作品を描く。
この作品は、彼の代表作となる。
他にもシルクスクリーンを使用し、大量生産・大量消費社会をテーマに反復技法で、多数の作品を発表する。


Vol・15  〜最先端技術を駆使して国宝級を復元〜
キャノンが5月30日、高性能印刷機で本物そっくりに復元した俵屋宗達(生没年不詳)の「桜図屏風」と尾形光琳(1658−1716)の「群鶴図屏風」の2作品を東京都美術館に
寄贈しました。
この2作品は、現在米国フリーア美術館所蔵の作品で、なかなか見ることは出来ませんが、国内にあれば国宝級の文化財です。
同美術館は,一般公開を検討しています。

キャノンは、2007年3月に特定非営利活動法人 京都文化協会と共同で「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)を立ち上げました。
今回は、その第5期の作品になります。


*綴プロジェクト(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)とは*
2007年に特定非営利活動法人 京都文化協会とキャノンが共同で立ち上げたプロジェクトです。
取り組みのテーマを「海外に渡った日本の文化財」「歴史をひもとく文化財」とかかげ、歴史の中で海外に渡った日本の貴重な文化財を再現し、海外に渡る以前の所有者などへ
寄贈する事、歴史の教育の現場で生きた教材として活用される事を目的としています。
キャノンの最新のデジタル技術と京都の伝統工芸の技を融合させて、オリジナルの作品に限りなく近い高精細複製品を制作し、多くの人に日本の貴重な文化財の価値を
身近に感じてもらおうと始めました。


第1期(2008年)〜第4期(2011年)までの作品には、長谷川等伯(1539−1610)の「松林図屏風」、雪舟(1420−1506頃)の「山水長巻」
雪村周継(1504頃ー1589)の「竜虎図屏風」、伊藤若沖(1716−1800)の「樹花鳥獣図屏風」、菱川師宣(1618−1694)の「江戸風俗図屏風」
円山応挙(1733−1795)の「雪松図屏風」等23作品があります。

いずれも歴史の教科書等で、一度は目にした事のある作品だと思います。
オリジナル作品を見る事は難しい現在、そのような作品を高度な技術により複製品とは言えないほどの高精細複製品により、身近に感じられるようになる事は素敵な事では
ないでしょうか。



Vol・16  〜毎日オークションにアンティックドールが出品〜
島根県津和野町にある板橋アンティックドール美術館より120体の人形が出品されます。これらの人形は、館長である板橋龍子さんが30年以上の時間と労力をかけて
集めてこられた貴重なコレクションです。
その人形たちは、ほとんどオリジナルのドレスを纏い質の高さを感じるものです。これほどのアンティックドールが一堂に出品される事は稀で、いくらで落札されるのか
期待されます。

オークションは2012年7月7日(土)に開催されます。


*アンティックドールとは*
一般的には、19世紀後半にその黄金期を迎えたビスクドールの事を言います。
ビスクドールの「ビスク」とはフランス語で「二度焼き」のこと。当時、頭部と手部は二度焼きされた素焼きの磁器が用いられていました。
また、眼にはガラスを使い、布で作った綺麗なドレスを着せ、素材、技法ともに全てが手の込んだものでした。
しかし、これらの人形は、ゴムやセルロイド製の人形が大量生産される様になり1930年頃には姿を消してしまいました。
作家としては、ジュモー(1842−1899)、ブリュー(1866−1899)などが有名です。
彼らの作品は、その芸術性ゆえに現在では大変な希少価値を持っています。
また、当時の服装を研究する上でも貴重な学術的遺産でもあります。


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